先日、ネットサーフィン中に、原発に対するテロを題材にした小説として紹介されていたのを目にし、興味を引かれ読んでみた。著者は、少し前にドラマ化された「探偵ガリレオ」などを書いている、人気作家の東野圭吾氏。文庫本の装丁に書かれていた内容紹介は以下の通り。
「奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。 」(講談社文庫)
著者は日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞などを受賞しているが、この小説は推理小説ではない。「なぜ」を考えるという点で、広い意味ではミステリーかもしれないが、犯人は前半1/4程度でわかってしまうし、推理小説とすれば、トリックの詰めに多少甘い点がある、と思う。しかし、サスペンスとしては非常に面白く、かつ、社会的なメッセージ性の高い、興味深い本だった。事件に際して、技術者、現場責任者、警察、一般の人々、マスコミ、そして政府関係者の言動が、よく観察され描き出されていることも面白かった。「放射線」「放射
能」「放射性物質」等々の言葉を、それを使う登場人物によって使い分けているあたりも芸が細かい。全体に、丁寧に取材して書かれたことをうかがわせる。
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